暴力団組長の長野修一は後藤忠政をどう見たのだろうか。
長野修一は後藤忠政について、木村勝美の著書『竹中四代目暗殺事件のヒットマン・長野修一』に収録されている長野自身による獄中書簡の中でふれている。
この記事の主要な登場人物
長野修一
後藤忠政
「本では格好良く書きすぎだが頭が良さそうな人」
このサイトでも後藤忠政の『憚りながら』は何度も取り上げているが、この本を長野修一も獄中で読んだという。
このようなことを述べている。
注文していた本が4日に届いたです。ありがとうございます。早速、『憚りながら』(後藤忠政)を読みました。
この作者とは少しだけの知り合いだったので、その当時のことをあれこれと思い出しながらも、不思議な気持ちで読んだです。
この本では彼も格好良く書きすぎですよ。でも、私の知る限りは頭の切れそうな人だったので、本の内容もうなずけます。
引用:木村勝美『竹中四代目暗殺事件のヒットマン・長野修一~獄中書簡356通全公開~』(かや書房、2020年)173頁
下記は当サイトの『憚りながら』を扱った記事である。
『竹中四代目暗殺事件のヒットマン・長野修一 ~獄中書簡356通全公開~』(木村勝美)の読みどころ
引用は木村勝美『竹中四代目暗殺事件のヒットマン・長野修一~獄中書簡356通全公開~』からのものである。
木村勝美の『竹中四代目暗殺事件のヒットマン・長野修一』は、その副題の「獄中書簡356通全公開」の通り、大部分は長野から知人の「S」氏宛ての獄中書簡をそのまま抜粋したもので構成されている。
木村勝美は80歳、長野修一は75歳であり、互いに高齢者同士のやり取りとなった。
マスコミ嫌いの長野だったが、木村の「将来若いジャーナリストの執筆資料にしたい」という言葉に惹かれて取材を引き受けるに至った。しかし2人の面会の許可は下りなかったという。
それもあってか、木村勝美は将来の執筆材料としての資料性を重視したとしており、ひたすら長野の獄中書簡の抜粋が続く形式になっている。
その大部分は、長野の獄中生活やその時々の思いなど、淡々とした言葉が綴られるものである。
個人的に面白かったことの一つは、どうしても暇を持て余す獄中生活の楽しみとしての読書で、様々な本が出てくることである。
出てくる書名を一つずつ読んで、それらをすべて書き起こそうかと考えていたが、あまりにも膨大な量の本が出てくるので途中で諦めてしまったほどである。
長野が獄中で読む雑誌として、暴力団と右翼団体は親和性が高いが、保守系の「WILL」「SAPIO」「諸君!」などが出てくるのはやはりという気がする。
また長野が「ネットに自分の名前が出てるらしい。どうせろくなことが書かれてないのだからどうにかならないか」と相談するところなど、管理人はネットに書いている者の一人として、妙な気持ちにさせられた。
あとがきでは長野修一が獄中で、山本広宅にロケット弾を撃ち込んで服役していた竹中組組員の安東美樹に襲われた事件の顛末が簡単に書かれている。
それがために刑務所内のイベントが中止になると通告されたために、服役中の各組織の組員が集まって安東が今後手を出さないように約束させられたのだという。
そこでの記述によれば、安東美樹は実話誌が報じる英雄像と微妙に異なり、刑務所内では浮いた存在だったのだとか。