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ヘミングウェイの見たフィッツジェラルドとその妻ゼルダ「何があろうと彼の良き友人であろう」「妻のゼルダは彼の大きなハンデ」

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小説家のヘミングウェイは同じく小説家のスコット・フィッツジェラルドをどう見たのだろうか。

ヘミングウェイはフィッツジェラルドについて、自身の短編集『移動祝祭日』で言及している。

これから『移動祝祭日』(新潮文庫)収録の「スコット・フィッツジェラルド」を引用するので、これから読もうという人はネタバレに注意。
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この記事に登場する主要な人物

アーネスト・ヘミングウェイ

アーネスト・ヘミングウェイ(小説家)‥‥Wikipedia

スコット・フィッツジェラルド

スコット・フィッツジェラルド(小説家)‥‥Wikipedia

ゼルダ・セイヤー

ゼルダ・セイヤー(小説家)‥‥Wikipedia

「彼が何をしようと良き友人であろう」「妻のゼルダは彼の大きなハンデ」

ヘミングウェイの短編集『移動祝祭日』は、ノンフィクション要素の強い短編集で、ヘミングウェイの実質的な遺作とされている。

その『移動祝祭日』(新潮文庫)収録の短編小説「スコット・フィッツジェラルド」でヘミングウェイは、フィッツジェラルドと、その妻のゼルダ(同じく小説家)について述べている。

そこまでヘミングウェイは、フィッツジェラルドの様々な人間的欠点を描写しているが、名作と名高い フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』(偉大なるギャツビー)を読んだ後、彼に対する見方を一変させている。

最後まで読み終わったとき、私は覚ったのだった、スコットが何をしようと、どんな振る舞いをしようと、それは一種の病気のようなものと心得て、できる限り彼の役に立ち、彼の良き友人になるよう心がけなければならない、と。

スコットには良き友人が大勢いた。私の知るだれよりも大勢いた。しかし、彼の役に立とうと立つまいと、自分もまた彼の友人の輪の新たな一人になろう。そう思った。

もし彼が『グレート・ギャツビー』のような傑作を書けるのなら、それを上まわる作品だって書けるにちがいない。

そのとき、私はまだ彼の妻のゼルダのことを知らなかった。だから、彼の前にはどんなに恐ろしいハンデが横たわっているか、知る由もなかったのである。

が、われわれはほどなくそれを知ることになるのだった。

引用:ヘミングウェイ『移動祝祭日』(新潮文庫、平成21年)250頁

ヘミングウェイ『移動祝祭日』の見どころ・読みどころ

以上の引用文はヘミングウェイの短編小説集『移動祝祭日』からのものである。

ヘミングウェイの『移動祝祭日』は、彼の実質的遺作とされている。

管理人はヘミングウェイの『日はまた昇る』などの諸作品を愛読していたが、かなり以前に新潮文庫から『移動祝祭日』が刊行されていたことを知らなかった。

そのため、新訳で新たに『移動祝祭日』が刊行されて初めてその存在を知り、既に没後だいぶ経っていたのにまさか新たなヘミングウェイの作品が読めるなど思っていなかったので、興奮したのを覚えている。

その『移動祝祭日』の読みどころとしては、同作品のノンフィクション要素の強さから、おそらくヘミングウェイの諸作品の中でもっとも彼の肉声に近い言葉を読めるということ、加えて、同作には20編もの短編が収録されているので、ちょっとしたお得感があるということだろうか。

しかしやはり、『移動祝祭日』の一番の目玉は、何といっても『日はまた昇る』冒頭の伝説的名文句「あなたがたは失われた世代です」という言葉と、その言葉を吐いたガートルード・スタインに関する印象をヘミングウェイが率直に語っていることだろう。

また知ってる人にとっては意外な事実ではないのかもしれないが、実はガートルード・スタインはレズビアンだったらしく、そのため、例えば同作に収録の「実に奇妙な結末」では、スタインの行為中の声をヘミングウェイが部屋のドアの前で偶然立ち聞きしてしまう、というやや刺激の強い描写も出てくる。(ガートルード・スタイン:Wikipedia

ヘミングウェイの著作の内、次の作品はAmazonの電子書籍読み放題サービス『Kindle Unlimited』で読むことができる。(2022年11月11日閲覧時の情報)

  • 『老人と海』 (光文社古典新訳文庫)
  • 『武器よさらば』
  • 『日はまた昇る』
  • 『ヘミングウェイ短編集1~3』(以下、出版社はすべてグーテンベルク21)
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小説家
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