小林秀雄から見たサルトル「復讐の念みたいな残酷なもの。愛情がない」

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批評家の小林秀雄はフランスの哲学者・サルトルをどう見たのか。

小林秀雄は『小林秀雄対話集』(講談社文芸文庫)の大岡昇平との対談の中でサルトルに言及している。

「復讐の念みたいな、残酷なものがある。愛情がないのです」

小林は大岡昇平とサルトルの文章論について語った後で、サルトルの特殊な印象を語っている。

大岡 「存在と虚無」はとにかく七百ページあるそうですよ。

小林 いや、もう願い下げにしときます。あの人の批評には、何か残酷なものがあるなあ。

大岡 なにか爬虫類か、ユダヤ人みたいな肌触りね。

小林 実存主義という様なものには、やっぱり何か心穏やかでないものがあるのだね、それが現れるのかな、やっぱりコンプレックスかね。

大岡 一種のコンプレックスに違いないです。小説にも出ている。

小林 あの鋭さはとてもかなわないと思うが、何か妙なものがあるね、復讐の念みたいな、残酷なものがある。愛情がないのです。

引用:小林秀雄『小林秀雄対話集』(講談社文芸文庫、2005年) 131、132ページ

 

文中の「存在と虚無」はサルトルの哲学的主著。通常は『存在と無』(1943年)と呼ばれることが多い。

 

 

小林はサルトルについて「残酷」という印象を語っているが、サルトルは有名なアルベール・カミュとの間に戦われた論争(新潮文庫『革命か反抗か』収録)の中で、旧友のカミュに「君の天性である虚飾」といった痛烈な言葉を投げかけている。

一方、三島由紀夫は非常にサルトルを嫌っていたことで知られている。

小林秀雄(こばやしひでお)

小林 秀雄(こばやし ひでお、1902年(明治35年)4月11日 – 1983年(昭和58年)3月1日)は、日本の文芸評論家、編集者、作家。(略)

近代日本の文芸評論の確立者であり、晩年は保守文化人の代表者であった。アルチュール・ランボー、シャルル・ボードレールなどフランス象徴派の詩人たち、ドストエフスキー、幸田露伴・泉鏡花・志賀直哉らの作品、ベルクソンやアランの哲学思想に影響を受ける。本居宣長の著作など近代以前の日本文学などにも造詣と鑑識眼を持っていた。

引用:Wikipedia

ジャン=ポール・サルトル

ジャン=ポール・サルトル(1905年6月21日 – 1980年4月15日)はフランスの哲学者。フッサールやハイデガーの哲学に影響を受けた哲学的主著『存在と無』を著す。その主体性と社会参加(アンガージュマン)の重要性を説いたサルトルの思想、いわゆる「実存主義」は多くの支持を集め、一躍時代の寵児となる。小説『嘔吐』や『自由への道』も評価されて、ノーベル文学賞に選ばれるも受賞を拒否・辞退。『第二の性』で有名な哲学者でフェミニストのシモーヌ・ド・ボーヴォワールは内縁の妻である。
(参考:Wikipedia
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