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保田與重郎は棟方志功をどう見たか。「ルオーに対抗する東方の天造物」

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批評家の保田與重郎は版画家・棟方志功をどう見たのだろうか。

保田與重郎は『日本に祈る』の中で、ピカソ、ルオー、次いで棟方志功に言及している。

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人物紹介

保田 與重郎(保田 与重郎、やすだ よじゅうろう)の生没年は1910年(明治43年)4月15日 – 1981年(昭和56年)10月4日。戦前の日本を代表する文芸評論家で日本浪曼派の代表的論客とされる。ヘルダーリンやシュレーゲルを軸としたドイツロマン派に傾倒して、近代文明批判と日本古典主義を展開。戦前、『日本の橋』でデビューし、『蒙疆』『後鳥羽院-日本文學の源流と傳統』『近代の終焉』『日本語録』など多数の作品を発表。戦後、公職追放されるも、『日本に祈る』や『絶対平和論』を発表、再び注目される。戦中・戦前の立ち位置のために現在でも評価が難しいとされる文学者の一人。(参考:Wikipedia

パブロ・ピカソ(Pablo Picasso [ˈpaβlo piˈkaso], 1881年10月25日 – 1973年4月8日)は、スペインのマラガに生まれ、フランスで制作活動をした画家、素描家、彫刻家。

ジョルジュ・ブラックとともに、キュビスムの創始者として知られる。生涯におよそ1万3500点の油絵と素描、10万点の版画、3万4000点の挿絵、300点の彫刻と陶器を制作し、最も多作な美術家であると『ギネスブック』に記されている。

引用:Wikipedia

ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault, 1871年5月27日 – 1958年2月13日)は、フォーヴィスムに分類される19世紀~20世紀期のフランスの画家。

ルオーは、パリの美術学校でアンリ・マティスらと同期だったこともあり、フォーヴィスムの画家に分類されることが多いが、ルオー本人は「画壇」や「流派」とは一線を画し、ひたすら自己の芸術を追求した孤高の画家であった。

引用:Wikipedia

棟方 志功(むなかた しこう、1903年(明治36年)9月5日 – 1975年(昭和50年)9月13日)は、日本の板画家。20世紀の美術を代表する世界的巨匠の一人。

青森県出身。川上澄生の版画「初夏の風」を見た感激で、版画家になることを決意[1]。1942年(昭和17年)以降、彼は版画を「板画」と称し、木版の特徴を生かした作品を一貫して作り続けた。

引用:Wikipedia

「ルオーには敬意を、ピカソは近代人の批判者にすぎぬ」

前段で保田は、ルオーとピカソに言及している。(出典は保田與重郎文庫の『日本に祈る』による。原文は旧字体だが適宜新字体に直す。漢字が出ない場合などは近い言葉に置きかえる)

今日世界の画壇において、近代画観の「迷信」を意とせず、セザンヌ式の科学と無関係に、天造純真の絵を描いているただ一人の絵師はルオーである。余はルオーに敬意を表する。

かのピカソの如きは、抜群狡知の近代思想の持主、その峻烈な近代人の批判者にすぎぬ。余の言う魂の天造の絵師ではない。「宗教画」と呼ばれる時代の絵師の描いた、まことの絵を「神の如く」に描く画工は、今日ルオーのみである。

引用:『日本に祈る』(保田與十郎文庫、2001年)「日本に祈る あとがき 二」(268頁)

文意はやや追いにくいものの、保田はルオーに大きな敬意を払う一方で、ピカソに対してはさほど高い評価は与えていないことが読み取れる。

「わが志功は、ルオーに対抗する東方の天造物である」

その後にすぐこのような言葉が続く。

しかるにわが志功は、ルオーに対抗する東方の天造物である。

彼は人工の企てとたくらみ、、、、の形をもたされた仏たち(観念)を、清純の原型の神に――その生まれながらのもの、、、、、、、、、に、何ごとも考えないで、生みかえし得る造型者である。かかる点の、その天性のすさまじさ、ルオーよりもさらに一際(ひときわ)天造に近いものがある。

彼は製作者としての己、その批評家としての己、というものをその作品に決して加えない。彼は神ながらに、子を産む如く、国を生まれた如く、絵を描く。彼は最近の作「天意如意観音」の如き、名称自詮(※)、さながらここに例として言うにふさわしい。

引用:『日本に祈る』(保田與十郎文庫、2001年)「日本に祈る あとがき 二」(268~269頁)

※名詮自性(みょうせん じしょう)のことか。名詮自性は、仏教用語で、名はその物の性質をおのずから表すという意味の言葉。名詮自称とも。

この件(くだり)の後にも保田は、さらに、戦後に棟方の「濡々観音」という板画作品を見た時の感動を語り、棟方は「東洋の天才」であるとしている。

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画家批評家
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