元後藤組組長の後藤忠政は、自民党の政治家である森喜朗についてどう見ていたのか。
後藤忠政は森喜朗について、自著『憚りながら』の中で手短に言及している。
この記事の主要な登場人物:後藤忠政と森喜朗
「俺みたいなチンピラでも呆れるぐらい」
後藤忠政は自著『憚りながら』の中で、自民党の議員が党首について批判的に言うことについて「自分で選んだ親分の悪口を自分で言うのはおかしい」といった趣旨のことを述べ、その流れで森喜朗にわずかに言及している。
森(喜朗)が首相になってからぐらいかな、自民党がガタガタになってきたのは。あれ(森)は俺みたいなチンピラから見ても、呆れるぐらいだったから。
引用:後藤忠政『憚りながら』(宝島社、2010年)214ページ
後藤は森喜朗についてこのように評した。
一方で元外交官で作家の佐藤優は森喜朗について好意的に言及している。
後藤忠政『憚りながら』の見どころ・読みどころ
この記事の引用文は後藤忠政の著書『憚りながら(はばかりながら)』からのものである。
この著書『憚りながら』では、後藤忠政が、父や兄にいじめられていた幼少期の記憶から説き起こし、静岡での愚連隊時代、山口組組長時代など、各時期についてそれぞれ起こった出来事や印象に残ったことなどを語っている。
その面白さは暴力団組長としての後藤忠政の経歴に興味のある人にとっては無論のことだが、そこに出てくる人物の多士済々な顔触れは、仮に裏社会に興味のない人でも興味深く読めるのではないかと思わせるものである。
裏表問わず縦横に繰り広げられる後藤の人物評は、賛否はともかくとして、なるほど例え裏社会であっても位人臣を極めた人はそれなりの一家言を持つに至るものなのだな、と思わせてくれる。
また言うまでもなく、子供から不良少年に、不良少年からチンピラに、チンピラからヤクザに、そしてヤクザ渡世を引退、という後藤忠政のヤクザ渡世を俯瞰できるこの著書は、アウトローに興味のある人なら一度は読んでみても損はないだろう。