ドイツの詩人ゲーテは画家のクロード・ロランをどう見たのだろうか。
ゲーテはクロード・ロランについて『ゲーテとの対話』の中で言及している。
「完全な人」「美しい思想と美しい感情を抱いている」
ゲーテはエッカーマンに「スープを待つ間、君に目の保養をさせてあげよう」と言って、クロード・ロランの風景画集を見せてこのように語った。
「わかるだろう、完全な人だ。」とゲーテはいった、
「この人は、美しい思想と美しい感情を抱いている。心の中には、外界にいては容易にうかがい知れぬような一つの世界があったのだ。これらの絵には、この上ない真実があふれている。けれども、現実はどこにも跡をとどめていない。
クロード・ロランは、現実の世界を隅から隅まで、すらすら空でいえるほど知りつくしていた。それを彼は自らの美しい魂の世界を表現するための手段として用いた。
これこそまさにほんとうの理想性だよ。現実を手段として利用しながら、真実に見えてくることがまるで現実であるかのように思いこませることを知っているのだ。」
引用:エッカーマン『ゲーテとの対話』中巻(1968年、岩波書店)117頁