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三島由紀夫から見た自意識の問題をめぐる石原慎太郎・林房雄・太宰治・舟橋聖一・川端康成の特徴

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三島由紀夫は対談集『源泉の感情』で、「自意識で破滅する作家としない作家」として、石原慎太郎・林房雄・太宰治・舟橋聖一・川端康成といった各人へのそれぞれの見方を披露している。

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この記事の主要な登場人物

三島由紀夫(みしまゆきお)

三島由紀夫(小説家)・・・Wikipedia

林房雄

林房雄(小説家)・・・Wikipedia

石原慎太郎

石原慎太郎(小説家)・・・Wikipedia

太宰治

太宰治(小説家)・・・Wikipedia

小林秀雄

小林秀雄(批評家)・・・Wikipedia

梶井基次郎

梶井基次郎(小説家)・・・Wikipedia

舟橋聖一

舟橋聖一(小説家)・・・Wikipedia

谷崎潤一郎

谷崎潤一郎(小説家)‥‥‥ Wikipedia

川端康成

川端康成(小説家)‥‥‥ Wikipedia

「石原慎太郎と林房雄は自意識で破滅しない。太宰治は破滅する」

該当の言及があるのは、対談集『源泉の感情』において、三島が石原慎太郎と対談している時のものである。

三島 僕は林〔房雄〕さんというのは非常に好きだけど、石原さんも好きですよ。そういうふしぎなところが似てるというんだ。自意識において破滅しない作家というものの典型だよ。

自意識において破滅する作家は太宰治みたいなのをいう。こういう作家は嫌いなんだから、自分はそうありたくないと思っているでしょう。

あなただの林〔房雄〕さんは好きですよ。それはこういう人たちはどうほっておいても、どんなにいじめても、自意識の問題で破滅することはない。

それは悪口いえば無意識過多ということになるよね(笑)。僕はそういうふうには言わないよ。しかし林〔房雄〕さんの問題ってそこにあると思う。

小林〔秀雄〕さんもぶつかった問題だし、だれもぶつかった問題だけど、自意識というものがどういうふうに人間をばらばらにし、めちゃくちゃにしちゃうかという問題にぶつかったときに、耐え得る人間と耐え得ない人があるんだね。

梶井基次郎みたいに病気で死んじゃえば簡単だよ。だけど人間みんな生きなきゃならないんだから、どうしても勝たなきゃならない。絶対生きられる人っていいじゃないですか。

舟橋聖一さんなんかもそういうところあるね。これは全然別の形だ。しかし彼も又自意識において破滅することはないですよ。谷崎〔潤一郎〕さんもそうかもしれない。

ただちょっと異色は川端(康成)さんでね、こんな自意識の問題をすれすれまで行ってよけて通った人はいないんじゃないかなあ。いつも一歩手前なんですけど、破滅しないんですよ。

引用:三島由紀夫対談集『源泉の感情』(河出文庫、2006年)222、223頁。文中〔〕内は引用者

三島由紀夫の対談集『源泉の感情』の見どころ・読みどころ

この対談は三島由紀夫の対談集『源泉の感情』(河出文庫)に収録されている。

『源泉の感情』では、小林秀雄、舟橋聖一、安部公房、野坂昭如、福田恆存、芥川比呂志、石原慎太郎、武田泰淳といったそうそうたる文士と三島の対談は当然面白いのだが、管理人が個人的に面白かったのが伝統芸能の名人たちとの対談である。

肉体を用いた表現者と言葉を用いた表現者である三島との対談は通じ合うようでまったく噛み合わず、その不成立具合が一周して逆に面白い。

これには三島も後書きで素直に「参った」と述べ、さらに

言葉で表現する必要のない或るきわめて重大な事柄に関わり合い、そのために研鑽しているという名人の自負こそ、名人をして名人たらしめるものだが、そういう人に論理的なわかりやすさなどを期待してはいけないのである。

今も思い出す最大の難物は故山城少掾で、この対談に冷汗を流して格闘した結果、すんだあとで、私は軽い脳貧血を起こしてしまった。

引用:三島由紀夫『対談集 源泉の感情』(河出文庫、2006年)421頁

と言って白旗を上げている。(山城少掾やましろのしょうじょうは名人と謳われた義太夫節大夫。参考:Wikipedia

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